IC1805

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やっと、思い描いた調子を得ることが出来ました。自分で処理をしていて、しばし見とれてしまいました...（笑）
星の写真を苦労してやっているのは、この瞬間に出会うためなんだな〜とつくづく思いました。
フラットも完璧で、背景傾斜の補正処理はまったくしていません。
とにかく下ごしらえが終わった後は、ものの３０分ほどで完成してしまいました。本当にスッキリと、複雑な手を加えず、素直に仕上がりました。
それから最近は、「ノイズはある程度あった方がいい」という意識になりました。ここが大きく変わっています。
ノイズが適度にあることにより、画像が以前よりも自然になったと思います。変にノイズキャンセルを行うと、どうしても描いたような「絵」になってしまいます。また、印刷すると解像度感が大きく向上します。
前作の二重星団（h+x）から、処理方法も少しずつ変えていますが、その新しい処理フローに強い手応えを感じています。変更点としては、以下のような点があります。
1.フォトショップでの輝度合成をやめて、LabカラースペースでＬを置き換える正当な方法に変えました。色の純度が高く、ディティールが潰れません。

　　

　　＊置き換えるＬのトーンの調整は大切です。RGBのガンマを変更しても変化はありませんが、
　　　Lのガンマを変えると、絵が変わります。ガンマを上げる（明るくする）と、色の彩度が落ち、
　　　ガンマを下げる（暗くする）と、色の彩度が上がります。このあたりのさじ加減が、作品の仕上がりに
　　　大きく影響してきます。
2.CCDStack（CCDWate）を使って、ダーク、フラット補正以降の下ごしらえ処理を行いました。

　　

これの良いところは、合成前に各画像のレンジを合わせることが出来ることです。今までは、合成後にAutoStreach（自作アプリ）を使って合わせていたのですが、考えてみれば、各サブフレーム毎にminとmaxのレンジは微妙に変化するわけで、そのバラツキは画質に悪影響を与えるでしょう。また、星のアライメント能力もMaxImDLよりも一枚上手。より簡単に、精度の高いコンポジットを行えます。
3.Ｌ画像を、(Ha+R+G+B)/4 により作成しています。この過程で、Haの星像が小さい為、星像が小さくシャープになります。
4.Labカラースペース変換によるLRGB合成は、最後に行うようにしました。
Ｌ（HaRGB）をベースに画像復元処理を行ったＨａ画像をマスクで合成し、最終的なシャープさを持たモノクロ画像を初めに作ってしまいます。トーンカーブや、最終的なシャープ処理も全てやってしまい、最後にLRGB合成をしました。この方が、色の純度が高まります。カラー化した後の処理は少なくした方がいいですね。
5.フィルター感度とＣＣＤ感度を考慮したトーンカーブ補正（NGC7293で説明したもの）を使って色補正をしました。これを行うと、赤い星雲の中のブルーの星に照らされた感じが非常に良く描写できました。
6.原因を探っている最中なんですが、赤い星雲の手前にある星も輪郭が綺麗に描写されました。たまたま素材が良かったのか、それとも新しい処理方法の何かがそれに有効だったのか...
特に微恒星は、汚くなってしまうのが常ですが、今回それがとても綺麗に描写出来ました。あまりにも綺麗でビックリしています。Ｌ画像をRGB画像とHa画像との平均としたことにより星像が絞まり、ＲＧＢ画像の星像とたまたまピッタリと合ったのかもしれません。まだ、確定的なことは何も言えません。

　

　＊星雲の手前の微恒星がきちんと描写出来ました。赤い星雲の前の青い星のハローも上出来です。