真上から眺めているので、M33、M101などと同じように、銀河の構造がとてもよくわかります。中心部分には棒状のコアが見えます。私たちが属する天の川銀河もこのような棒状のコアを持っているようなので、外から見たら、ちょうどこんな風に見えるのかもしれません。


 この銀河は、私達の銀河の公転面方向にあるため(天の川の中ってことです)、邪魔をするものが多くてカラーバランスがすこし崩れて、赤っぽく見えます。ちょうど夕焼け時のような、天の川銀河内のチリなどによる散乱効果でしょうか?...それとも、私がどこかで画像処理をしくじっているだけかな? 



<強いX線を出しているブラックホールがあると思われる場所>


日本のX線探査衛星「あすか」がこの銀河の中にある、ULX(大光度X線源)の詳細を調べています。強いX線を出している天体といえばブラックホール。ブラックホールは周囲の物質をその重力で引き込みます。光さえもそこからは抜け出すことが出来ません。ではなぜX線が出るのでしょうか?

 X線は100万度〜1000万度という宇宙でもかなり高温な部類に入る温度を持つものから発せられます。太陽の表面はわずか6000度しかありません。しかしコロナは100万度あり、X線で観測されています。つまりそれと同程度の熱い何かがここにあるはずです。ブラックホールからは何も出てくるはずはないので、その近くに何かが存在していることになります。


ブラックホールは、周囲の物質を引き寄せます。物質はブラックホールに近づくと、回転しながらどんどん密度を増していき、リング状の降着円盤と呼ばれるをものを形成します。この円盤は、ブラックホールに近づけば近づくほど、早く回転するようになり、最後は光速に近づきます。しかも密度が高くなるので、その摩擦熱は相当なものになるでしょう。物質は非常な高温になり、強いX線を放出し始めるのです。

これらのULXはブラックホールの側に連星があり、その星から大量の物質をはぎ取って、吸い込み続けていると想像されています。実際にそこに行ってその現場を見ることが出来たら壮絶な光景でしょうね。



  1. 実は数年前、仕事でこの降着円盤の生成過程を説明するCGを作りました。
    「X線で輝く灼熱の宇宙」というDVD作品で、「あすか」の観測成果をまとめたものです。
    http://www.astroarts.co.jp/shop/showcase/dvd_jaxa_x/index-j.shtml

 
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  1. 箇条書き項目視直径は21’もあるのでとても大きいのですが、非常に淡い銀河。しかも我々の銀河の公転面の方向にあるので大量のガス、星間物質を通してみることになる。画像処理をしていてもM101やM33(まあこれは大きいが)などに比べ、どうも画像がしゃきっとしてこない。やはり我々の銀河の物質が地球の大気と同様な減衰、拡散効果を及ぼしているのだろうか。それに加えて手前にある星々がさらに邪魔をする。「1070万光年先の銀河を背景にかがやく我々の銀河の星」、この描写はとても難しい。

  2. 箇条書き項目7時間もの露出をかけましたが、まだ足りない感じですね。とにかく腕が淡い。時間をかけているので良いシーイングだけの画像を使うことが出来ず、ちょっとボケ気味の画像です。また挑戦したいですね。