Tips

 

コンポジット


 良画像が選択できたら、リストの選択範囲をそのままMaxImDLにドラッグアンドドロップします。コンポジットは、MaxImDLに備わるAutoStarMathing機能を使っています。画像を解析し、自動的に位置(回転を含む)を会わせてくれます。星像が流れていたり、飛行機や衛星が横切った画像では、この機能はうまく動かないことがありますが、事前に良い画像だけを選んでいるのでエラーが起こることはまずありません。L画像で6枚〜程度。RGBは基本的に4枚〜程度コンバインするのが普通です。コンバインされたファイルは、@Master[ターゲット名]というフォルダーの中に、保存されます。 ファイル名の最後には、Combine[コンバイン枚数]_[コンバインした日付]を付加し、後で見た時にどんなファイルなのかをわかりやすくしておきます。

 コンバインには、シグマクリップ合成を使っています。自作プラグインの「HotDead」でも取り除けなかったノイズはここで消してしまいます。平均合成に比べて、わずかにノイズは増えますが、明確なノイズが残るよりはこちらの方が良いですね。


6枚のコンポジット画像(@M16-ExG_HaPA015deg1200ds-20c-Combine6_20080703.fts



フラット補正誤差の修正


  フラット補正が完璧に出来ることは、よほど空の条件が良くない限り、まず実現出来ないと考えています。L画像はそこそこの精度でも大丈夫ですが、RGB画像は、わずかな傾斜が色むらとなって見えてしまいます。原因としては光害や、月、薄雲、雲の通過による背景の輝度傾斜。環境光(私の場合はトラス構造のため)による迷光などによって、通常のフラット処理だけでは必ずと言ってよいほど問題が出ます。L画像などに使うのであればほぼ問題ありませんが、RGB画像は、そのわずかな差が色の変化となって見えてしまうので、かなりシビアな精度が要求されます。

 本来はコンポジットの前に、フラット補正の不良を正しておくべきですが、これには膨大な手間がかかるため、現状はコンポジットが終わったマスターファイルに対して手動によるフラット補正不良の修正作業をしています。ここで取り切れない誤差は、最終段階のフォトショップ上で修正します。


 フラット補正の修正は、さまざまなソフトが、さまざまなアプローチで、ツールを提供していますが、結論から言うと、どれも完璧ではありません。私は、ステライメージの「周辺減光補正」や、「傾斜補正」などの基本的なツールで、手動調整しています。レンジを50程度に狭め、わずかな傾斜を見えるようにしておいて、修正します。





アライメント


 コンポジットの後は、まずアライメントを手動で行います

MaxImDLのAutoStar-Matchingにより、自動で行うことも出来ますが、R、G、Bなど、フィルターが異なる画像の場合、星像の大きさが違うのがあたりまえなので、精度が上がらない場合が多いです。RGBの星像の大きさの違いは、星の周囲に発生するハローがいびつになることに繋がります。気持ちよい星像を作るためには、最善のアライメント精度が必要です。




カラーバランス(オフセット&ストレッチ、クロップ)


 次に、各画像のレンジが同じスケールになるよう、オフセット、ストレッチを行います。具体的には、自作プログラム「AutoStretch」を使っています。このプログラムは、MaxImDLをCOMでコントロールするもので、各設定により、アライメント、オフセット&ストレッチ(R,G,Bフィルターによる感度補正値使用)、クロップを行わせることが出来ます(*近々、DownLoadエリアで提供予定)。DoItボタンで実行し、処理経過が表示されます。処理の終わった画像は、ファイル名のお尻に”_StCrop”という文字が付加されて、同じフォルダーに自動保存されます。




 実は、このプログラム開発時には、「与えられた画像から、カラーバランスを自動で出すことが出来ないか?」という大きな目標がありました。最大輝度が白となることが明らかであれば、そのポイントが同値になるようにストレッチすれば、各RGB毎の感度や露出時間に関係なく、カラーバランスを合わせることが出来ます。しかし、最大光度である星は、白であることはありませんからこの方法はダメということになります。逆に最低輝度も一概にフィルター感度を示すとは限りません。空の状態によって変化します。よって、結局、この目標は取り下げました。そりゃそうです。完璧な自動ホワイトバランスをとるということになり、それを実現するアルゴリズムなどありませんからね。

 その結果、非常に単純なプログラムになりましたが、それはそれで、手動でやることが減り、役に立っています。ストレッチによる正規化を行った後は、レンジが揃うので、RにHaを合成するような時にとても役立ちます。それと、DDPなどを行うときにレンジの値が常に同じ値になるので、数値をとても設定しやすくなります。何度もやっているとその値が体に染みつき、常に一定の処理が出来るようになります。


以下、こんな感じで、レンジが揃います。


 

Ha(左)とRed(右)のヒストグラム

*HaとRedは、同じレンジにします。演算誤差で少しだけ違いがありますが、ほぼ問題ないレベル差です


 

Green(左)とBlue(右)

*MaxImDL では、”Range”を選ぶと、画像ピクセルの最大、最小値に表示レンジがセットされます


 このプログラムは、画像の重なっていない領域をクロップする機能も持っています。撮影時に、ACPのDither機能を使っているので、画像毎にわずかにフレーム位置がずれて撮影されています。コンポジット時にすでに使えない領域が生まれますが、アライメントをとった後で一気にクロップすることにしています。本来、フォトショップでの最終仕上げ段階で行っても良いのですが、このタイミングで行うのがベストです。MaxImDLは、カラー合成時に背景の輝度を自動的に認識し、その色が黒になるように補正を行ってくれるのですが、画像周辺に使えない領域が残っていると、背景の色を不正に認識してしまう場合があります。