1. 星々が生まれるのは、星間物質の暗闇の中です。
    引力の偏りが物質の集中を生み、圧力が高まって熱が生まれ、光りを放ち始める。これが恒星誕生の瞬間。

  2. さらに十分な質量があれば、核融合反応を起こして安定した熱と光りを放射しはじめます。

  3. そして自らの放つ恒星風によって、ガスが吹き飛ばされ、空間が晴れ上がります。


M45(日本名・すばる)は、そんな状態の散開星団だとばかり思っていました(昔の本にはそのように書かれていたので...)。しかし調べ直したところ、すでに寿命が尽きかけている星団だったんです。ちょっと驚きました。太陽よりも重い星の為、1億年程度の寿命しかなく、すでに6千年〜1億年ほど経っているというのです。


ということは、この周りにあるガスは晴れ上がった名残のガスではないということです(ここでまた驚きました)。

このガスは、星団とはまったく関係のないもので、星団が星間ガスと衝突している最中なんだそうです。

しかも、2つの星雲と衝突しているので、このように入り乱れた様相を呈しているそうです。


いやー、調べてみるモンですね。

天文という分野は最新の観測、研究によって、常に情報が変化するということですね。気をつけなければ...

more large sizeM45_files/%40M45%40Mosaic_1.jpg
  1. 箇条書き項目上下、2枚モザイクです。モザイクの練習用として撮影してみました。M45の右半分しかないのは、そんな理由からです。

  2. 箇条書き項目ところが、モザイクの画像処理以前に、撮影した画像にものすごいハレーションが出てしまいました。 対象がM45という、輝星がフレームの中にもろに入ってしまう条件なので、ある程度はしょうがないと思いますが、ひどい状態でした。実はこの原因はわかっていて、RCOS望遠鏡の遮光筒内部のフラット塗料がだんだんと剥がれてきていたのです。アメリカで塗って、湿度の多い日本に来たせいかもしれませんが、それはそれはひどいはげ落ち方でした。ある時は剥げ落ちた塗料が内部のフィールドフラッターレンズの上に落ち、原因不明の影を作ったこともありました。そこで、主鏡をクリーニングした際に、思い切って全部剥がしてしまったのです。「まあ、そんなに反射してないし、大丈夫だろう」とたかをくくっていたのですが、これがとんでもない不良画像を生み出す原因になってしまいました。

    そこで、遮光筒を取り外し、内部をフラットブラックで塗ることにしました。手が届かないのでスプレーで少しづつ塗り、乾かしながら何度も塗っていきました。

    上下2枚のモザイクのうち、上側のフレームがこの作業をする前です。すごいハレーションが出ていると思います。そして、このフラットブラックの塗装をした後で撮ったのが、下側のフレームです。全くといっていいほど、大きなハレーションは起きていません。光路が通る望遠鏡内部の乱反射を無くすことはとても大事なことですね。


  3. 箇条書き項目来年は、4枚モザイクで、M45の全視野を表現したいところです。

 

メローペのすぐ側に、IC349という反射星雲があります。ハッブルの画像で有名ですね。

私の望遠鏡だとこの程度しか写りません。これも時速4万kmですれ違っているというからすごい速度です。


ところで、この青い星雲が見えているのは、言うまでもなく星団の星々に照らされているからですが、なぜこんな色になるのでしょうか? 感覚的に考えると、「青い星に照らされているから」ですが、実際にはそれだけが原因ではなく、レイリー散乱という現象を起こしているためなのだそうです。簡単に言えば地球の大気で太陽光が散乱し、空が青く見えるのと同じ現象が起きています。
 星から出た周波数の長い光(赤)は、ガスの粒子を素通りして散乱を起こしません。逆に周波数の短い青い光だけがガス分子にあたり、散乱を起こします。その結果、青い星雲として見えることになるわけです。しかし、すばるを構成する星々は、スペクトルタイプではB型なので、元々青白い光りをだしていることは、間違いはありません。その青い光りがより強調されているということなのでしょうね。


まっ、そんな物理的な理由はさておき、なんとすがすがしい星域。

赤い星雲が多い中、ふと心が和むのは私だけでしょうか。

© NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)