夏の夜空にひときわ明るく見える星雲です。
はくちょう座あたりから天の川をたどり、南に下がっていくと、ボーッとした雲のような、この星雲に出会うことが出来ます。肉眼でも天の川をバックにかなりハッキリと確認出来ます。


その中心部を捉えたのが、この画像です。

なんと複雑な構造を持つ星雲でしょう。表層には流れるようなガスの滑らかな流れ。しかしその内部には、誕生した星からの恒星風を受けて、複雑なケイブを宿しています。そして一番手前には、グロビュールがシルエットなって重なる...非常に美しく、壮大な光景です。この画像では差し渡し30光年の広がりを見ています。


星雲の中心付近に見える一番明るい星は、「いて座9番」という5.89等の星。この星が周りのガスを電離させているという解説を良く見ますが、私には、かなり手前にあるように見えるので、大きな影響を与えているようには思えません。


その周りに広がっているのは、散開星団NGC6530です。
こちらは、M8・干潟星雲から近いところにあるようで、その光りが星雲のチリに影響して、ほんのわずかにブルーに光っています。まるで赤い星雲の手間に、白い半透明のベールがあるようですね。





幾重にも重なるガスのカーテン。それらを一枚ずつめくっていくと、その中心部には、星雲に抱きかかえられるように浮かぶ星があります。手前をガスに覆われ、まだその全貌を見ることは出来ませんが、その光りによって周りの星雲の複雑な構造を浮かび上がらせています。あと何千年かすれば、そこから発せられた恒星風が、周囲のガスを押しのけ、ハッキリとその姿を捉えることが出来るようになるでしょう。そう、ちょうど薔薇星雲のようになるかもしれませんね。





星雲は、星の生まれるところです。

ガスが集まって星が生まれますが、そのガスの質量によって寿命が変わります。私達の太陽は主系列星の中でも、標準的な星で100億年ほどの寿命を持ちます。もっと沢山のガスが集まって星が出来ると、短い寿命で燃え尽きてしまいます。反対に少ない場合は、宇宙の年齢を超えるほどの寿命(なんと1000億年〜数兆年)を持つ星が出来上がります。これが赤色矮星です。ガスが大量に集まる方が確率的に少ないので、宇宙ではこの赤色矮星が多く存在することになります。


これほど長寿命を持つ星ならば、地球よりも生命の存在には適していそうですね。しかし、赤色矮星は小さいが故に、巨大なフレア、スーパーフレアを頻繁に起こします。最近「ノウイング」というSF映画がありましたが、あれは太陽が起こしたスーパーフレアにより、人類が絶滅する映画でした。赤色矮星は、あのようなスーパーフレアを頻繁に起こすということになり、「赤色矮星には、惑星が存在しても生命は絶対にいない」ということが言えそうですね。ちなみに、太陽の質量、及びその近辺に大質量の惑星がないことから、太陽ではスーパーフレアは起こらないとされています。ご安心を(笑)


この突発的なスーパーフレアの為に、赤色矮星は、非常に短い時間(数秒〜数時間)で明るさを変えます。このような急激な変化をするために、そのような赤色矮星を閃光星と呼びます。 記録によれば、わずか20秒の間に、10.3等から6.8等まで上昇した例もあったようです。


全ての赤色矮星が、閃光星になるわけではありませんが、このM8のエリアにはそれが沢山見つかっているようです。


2009年8月21日金曜日

 


  1. 箇条書き項目低高度にある対象で、撮影には苦労しました。南中高度30度です。高度自体はわりとあるのですが、雲と光害に悩まされました。天頂付近は晴れていても、低い高度は薄曇りと同等ということは良くあることです。そしてその為に、通常の方法のフラット補正では、綺麗に補正が決まりませんでした。

    <通常の方法によるフラット補正>
    オフアキインナーミラーの影が過補正になって白くなっています。


    <ガンマフラット補正>
    綺麗に補正出来ています。ただ、RGB合成した後、ほんのわずかにミラーの影が残っていました。現在のガンマフラット補正プログラムは、人の眼で状態を判断しています。ですからどうしても誤差が生まれます。これを偏差が最小になるように自動補性する方法をテスト中です。

  2. 箇条書き項目今回は、低空の対象ということもあり、あまりよいシーイングの素材が得られませんでした。特にRGB画像は悪かったです。L画像は、Ha、R、G、B画像から加算平均で作っています。Haを混ぜることによって、RGB画像のみで作ったL画像よりは星像が絞まります。そしてRGBとそのL画像でLRGB合成をすると、どうしても星の、周りにハローがでて、イメージを汚します。ある程度はあった方が色彩感が出て良いのですが、赤い星雲をバックにした星だと、リンギング(輪郭強調)のように見えてしまって台無しになってしまいます。ここの「塩梅」が難しい。RGB画像がそこそこのシーイングで撮れている場合は、そのままでOK。そうでない今回のような場合は、RGB画像の星像を少し小さくする必要があります。僕は、ステライメージのスターシャープフィルターを使いました。完成後のカラー画像に使うと、星像の品位を落としかねないのですが、RGB画像には、多少ラフにかけても大丈夫ですね。気楽に使うことが出来ます。


    左:オリジナル  右:RGB画像にスターシャープをかけたあとLRGB合成したもの

    もうひとつ、微恒星の表現です。Ha画像を使うと、L画像の微恒星が非常に小さくなり、LRGB合成を行うと、ハローだけのような状態になって微恒星に色が付きすぎるという現象が起きます。私はその場合、フォトショップの「ノイズ軽減フィルター」を使っています。カラーノイズ低減を軽く使うと、小さな面積の色を消してくれるので、ちょうどよい効果となります。

  3. 箇条書き項目一番迷ったのが、赤の出し方です。手前にブルーの散開星団があるのですが、そのブルーがどうやらそんなに彩度の強いものではなく「ほとんど白っぽい」のです。ですので、ブルーを強調するにはどうしても彩度を上げねばなりません。しかし彩度を上げるとどうしても画面が真っ赤っかになってしまうというジレンマに陥りました。このバランスがとても難しかったです。当初は、AutoStretchのせいでこのブルーが出ていないものだと思い、AutoStretchの改良をしてチャンレンジしました。しかしどうやら本当にこの色だったようです。なかなかAutoStretchは優秀ということになります(笑)よって、最終的な色調整はPSのカラーバランスに頼りました。

 
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