乱れのない、とても綺麗な形をした銀河です。

見かけも大きく、月くらいの大きさがあります。実際の大きさはちょうど我々の銀河系と同じくらいです。


沢山のHII領域が連なり、盛んに星形成をおこなっているのが見えます。このひとつひとつのピンクの領域がオリオン大星雲ほども大きなものでしょうか。これらの領域はよく見ると暗黒帯に絡んでいるのがわかります。星が生まれる場所は星間物質の密度が高い場所でしょうから、理屈的にもあってますね。そして、生まれた若い星々は青く輝き、腕部にそれらが集中しているのがわかります。M82に劣らずM81も相当活発な星形成が行われているように見えます。

これらの変化を、スピードを上げてみたら面白いだろうな。腕部にチカチカとピンク色の光りが明滅し、青い星が現れる。これに銀河の回転が加わり、渦巻き状に変形していくんでしょうね。


M81を見ていていつも気になるのが、銀河の回転に沿っていない暗黒帯です。中央コア部分の右側に、数本の薄い暗黒帯が縦に走っているのが見えます。銀河の回転運動とはまったく関係がないような形状なので、すごく不自然に感じます。これはなぜなんでしょう。



この縦に走る暗黒帯は不思議だ


見た感じでは、この縦に走る暗黒帯は、腕部の暗黒帯よりも手前にあるように見えます。銀河の公転面に対して立ち上がっているように見えるのですが...。数億年前にM82やNGC3077とすれ違ったときに、何かの引きずられた跡でしょうか?


次の画像をご覧ください。


http://astrophoto.com/M81LRGBDEEP.htm

http://www.galaxyimages.com/UNP_IFNebula.html


我々の銀河の恒星の間には、かなり淡いチリを含むガスが漂っているのだそうです。これをFlux Nebulaと呼びます。日本語ではどう訳されているのでしょうか。ここでは仮に流動星雲とでもしておきましょう。

かなり暗いものなので、通常の露光では、これが写ることはありません。しかし銀河系の中にあるものなので、もう全天に広がっているわけです。astrophoto.comのTony氏が撮影したM81の画像を見ると、この暗黒帯の正体が一目瞭然です。そう、この流動星雲がM81の手前を横切っているんですね。それでそれが影として見えていたんです。なるほど、だから、M81の回転の流れとはまったく違う方向性を持っていたんですね。

 
  1. 箇条書き項目まず、天文ガイドで最優秀賞をとれたことをとても嬉しく思います。M101に続いて2度目になりますが、もう取れないかと思っていたので、励みになりました。

  2. 箇条書き項目M81は大きな銀河であり、ただ撮るだけならばとても簡単に撮れる銀河です。しかしひとたび、その上を目指すととても難しい。この対象を、いままでいろいろな人がチャレンジしてきた作品と比べて際立たせることは大変なことだと感じました。シャープさだけではダメ、暗部が出ているだけでもダメ、全ての要素が最適にバランスされていなければなりません。果たして成功しているのかどうか...。作業をしていて、これだっ!と思っても、1日たって見るとなんでもないものに見えたりしました。そういう試行錯誤にとても時間がかかりました。はじめのトライから数えると撮影時間よりも画像処理時間の方が長くなっていると思います。

more large sizeM81_files/%40M81-v03-Merge-Tunned-Croped_1.jpg