非常に特徴的な形を持つ銀河です。


周囲には非常に淡いリング。その中に、何もないように見える領域を隔てて、本体があります。

よく見ると2本の青い腕が見え、この緩く渦巻く腕をたどって中心に近づくと、突然、活発な星形成領域が現れます。ピンク色のHII領域とそこで生まれたブルーの若い星々。そしてこれが暗黒帯と複雑に絡み合い中心部に至ります。

中心のコアはかなりの明るさがあり、20分の露出を与えると簡単に露出オーバーしてしまいます。1600万光年離れて尚、こんなに明るいということは、ちょっと特異的なコアなのかもしれません。


「この銀河には、ダークマターが非常に少ないのではないか」という説があるようです。


我々の天の川銀河は、中心部から外側まで、同じスピードで回転しています。そのような運動になるためには、目で見えるよりもっと大量の物質で銀河内を充満させる必要があるそうです。そのくらいの強い引力が相互に作用していないと、綺麗な渦巻き銀河にはならないということです。そしてこの見えないが、存在するであろう物質がダークマターです。しかし、これがこのM94には「無い」というのです。つまり、ダークマターの存在がなくても、目で見えている物質だけで、このような銀河の形状の説明がつくというわけです。


つまり、中心部から外縁部に向かって、密度がうすくなっているような物体の集まりを純粋にそのの質量だけでシミュレーションすると、このような形になるということ。中心部の回転スピードは、外縁にいくに従って遅くなり、ついには漂う雲のように停滞してしまう。中心部と外縁のリングの間の間隙も、ちょうど土星のリングのように、質量により分類された自然な運動の結果なのかもしれません。


星形成をおこすような質量分布が、その中の特定の領域だけで起こっているというのも面白いです。

その範囲では、ガス雲がちょうど良い密度で集まるのでしょうか。

様々なところで星形成が起こっている普通の銀河というのは、そのような条件に合うような回転スピードで、全体が回転しているのではないかという仮説が立てられます。まあ、スピードだけの問題ではないかもしれませんが、そう考えると面白いです。実証実験でもしてみたくなりますね(ん〜、手立てがない...)


  1. これと似たような形状をもつ銀河  「かみのけ座のNGC4314」「とけい座のNGC1512」などがありますね。見ようによっては、「かみのけ座のNGC4725」もそうかもしれません。

  1. 箇条書き項目中心部と周辺の輝度差がこんなに大きな銀河も珍しいです。20分のL画像ではコア部分が露出オーバーになります。よって、中心部は10分露出のRGBから、周辺部は20分露出のL画像を使って、合成しました。

  2. 箇条書き項目星形成領域は本当に綺麗な色とディティールが満載です。この部分はかなり明るいので、ここだけの解像度を上げるのは割と簡単です。しかし、そうしてしまうと周りの暗部ディスクとのディティール差が大きくなり、非常に不自然になります。よって暗部ディスクにもある程度のシャープさを与え(ノイズが目立たない程度)、バランスを取りながら中心部の解像度を決めました。そのさじ加減が一番難しかったです。暗部ディスクにも小さな星形成領域があり、それもある程度出せましたが、でもきっとまだかなりボケてますね。

  3. 箇条書き項目何か周囲の暗い星がボケてるな〜と思ったら、これきっと銀河ですね。 この辺りは銀緯90度にあたるので、このくらい見えて当然です。よかった、処理ミスでなくて...(ホッ)

  4. 箇条書き項目わずかにガイドエラーが起きています。これを隠すために最後の最後まで作業を続けました。
    下の画像をみてください。輝星のガイドエラーが消えているのがわかると思います。これは、ガイドエラーの起きていない画像を探し出し、その輝星部分を合成することで隠しました。輝星用の合成マスクを取ることまでは簡単ですが、バックグランドの輝度が合わないと黒い縁になって現れます。そこはガンマを調節して合わせました。副次効果で星像もわずかに小さくなりました。でも、やはりガイドエラーの無い画像を撮ることを考えた方がいいですね。

 
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