銀河の写真というと、典型的にこの画像のような見え方を思い浮かべると思います。

「星々に彩られた銀河の姿」です。


しかし実際にはそうではありません。

ここに見えている全ての星は、私たち天の川銀河の中にあるもので、この銀河(NGC925)の手前にあります。


もし天の川銀河を抜けだし、そこから見たとしたら、この光景はどのように変わるでしょうか?

レタッチで星を消してみました。




おそらくこんな風に、暗黒の空間をバックに、青い腕をかすかに輝かせて浮かんでいるはずです。

背景にはボケた星が見えますが、これは星ではなく、さらに遠くの銀河。


銀河の中の光りの点は、一つの星ではなく、星団や、星雲の固まりが見えています。

一つ一つの星が認識出来ないほど、銀河は遙か遠くにあります。

しかしその向こうには、さらに巨大な、想像を絶する空間が口を開けています。


宇宙の広がりは、我々の認知力を遙かに超えた領域に存在しているのでしょうね。

 
  1. 箇条書き項目星雲などの処理に比べ、非常に微細な構造を描き出すため、銀河は良い素材と研ぎ澄まされた処理が必要だと感じます。

  2. 箇条書き項目LRGB合成を行う前のL画像とRGB画像に以下の処理を施しました。

    L画像>
    1)明部用:レンジを広く取った高SNの画像にシャープ、画像復元処理を施す。
    2)暗部用:暗部用にレンジ調整し、軽いマルチバンドシャープにとどめる。


    RGB画像>
    カラー画像の枚数が3枚づつしかなく、SNが悪かったので、カラーノイズが目につきました。そこで今回はじめて、RGB画像にもL画像と同様な考え方を導入しました。

    銀河の細部を描き出すためには、わずかなカラーノイズも消す必要があります。LRGB合成前に以下のような処理をおこなうことによって、色解像度を落とさずに、飛躍的にカラーSNを改善することが出来ました。また、調子はL画像となるべく同じにしておくと、良い結果になります。

    1)明部用: 銀河明部の微細な色変化(Ha領域など)は、このレイヤーで描画します。
    2)暗部用: ノイズ低減フィルターで、カラーノイズを除去。カラーノイズ低減を行うと、
           Ha領域などの微細な描写がぼけてなくなりますが、そこは1)明部用が担当しますので、
           ここでは思いっきり強めに低減フィルターをかけます。

    以下が合成フローチャートです。




  3. 箇条書き項目コンポジットしたサブフレームのうち一枚にわずかなガイドエラーがあります。よく見ると輝星に小さな出っ張りがあります。

  4. 箇条書き項目
    more large sizeNGC925_files/%40NGC925v04-50%25-Tunned.jpg
     で見るとわかりますが、視野の外側、すぐ近くに輝星(7等星)があり、ゴーストが発生しています。右上からゴーストは、望遠鏡そのものが原因。しかし左からのものは、AO-Lの内部枠側面の乱反射だと思われます。以前、対策はとったのですが、まだ充分ではなかったようです。

    下に、SDB(自作の撮影ターゲットデータ作成ソフト)での視野と実際の画像を合わせてみました。
    輝星とゴースト位置がキチッとあっていて、ちょっと感激。間違いなくこれらの星が原因だとわかります。


 
more large sizeNGC925_files/%40NGC925v04-50%25-Tunned_1.jpg