私は、子供の頃から宇宙にあこがれ、科学的なことがとても好きな少年でした。
そして、アポロ月着陸、火星大接近と続いた宇宙のイベントに、しっかりとその心をつかまれてしまいました。望遠鏡欲しさに新聞配達をはじめたりもしましたが、手に入れたのは結局中学生になってから。
箱から出したミザールの8cm反射望遠鏡が大望遠鏡に見えました。
接眼部を覗くと、新しい望遠鏡の臭いがしたのを今でも覚えています。
自宅裏に畑があり、いつもそこに望遠鏡を引っ張り出して、夜空を眺めていました。
ある夜、ひとりで望遠鏡を覗いている時のことです。ふと顔を上げると、月ほどの大きさもあろうかという大火球が空を横切りました。横切ったという表現は適切ではありません。東の低空から出現したそれは、西の空の地平線に向かって夜空を駆け抜けていきました。尾をひくというよりも、細かな光りの破片をまき散らしながらすーっと音もなく、滑るように西のそらに消えて行ったのです。私は思わず、「うわーっ」っと大声をあげ、ものすごい恐怖に襲われました。叫びながら、飛ぶようにして、家の中に入っていったのを覚えています。
この一件が、僕に宇宙への確固たる感触を、植え付けました。
そして、2005年夏。
子供のころからの夢だった天文台が完成 ... 現在に至ります。
都会を離れ、ここ星居天文台の闇にひとり身を置く時、宇宙への畏敬の念を覚えます。
私にとって、星々の写真を撮る行為はそんな感覚を何倍にも増幅してくれるものです。
幾晩にもわたる撮影を続け、何十枚ものコンポジットの末に、さまざまな紋様が浮かびあがる時、なにものにも代え難い喜びを感じます。
このサイトを通して、それがあなたにも伝わりますように ...
上坂浩光