*Tips
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RGB合成 vs LRGB合成 どちらが良いか
さて、素材が揃ったところで、これをどう調理するかです。もちろん実際には、撮影前に考えるべきものです。
どのフィルターで、どの程度の露出で撮るのか、それをどう組み合わせていくかによって結果に大きな差が出ます。
一般に、L画像を別に撮影し、LRGB合成をする方が撮影時間の短縮に繋がると言われていますが、それはあくまでもRGBの撮影時間を減らした場合のみです。LRGB合成は、そもそもRGB画像の解像度を落とす(ビニング撮影する)ことによって感度を上げ、撮影時間を短縮することが出来ます。しかし、究極の画像を目指す場合は、カラー画像もビニングを行わない方が色解像度もあがり良い結果になるので、単純に考えるとL画像の撮影時間が増える分、LRGB合成の方が時間がかかります。
* LRGBと書くと素材の羅列なのか合成方法なのかが解らなくなりますので、
この記事中では、LRGB合成演算をL@RGBという表記で表現することにします。
RGB: RGB x20分x4枚=240分
L@RGB: (Lx20分x12枚=240分)+ ( RGB x20分x4枚=240分)=480分
* @はLRGB合成を示します。
しかしそれでも私はLは別に撮影しています。L画像を別に撮る理由はより高い解像度を求めるためです。その一番の理由はシーイングです。 シーイングは一晩のうちでも常に変化していますから、最高のシーイングを求めるならLフィルターで、その良いシーイングを瞬時に捕まえる必要があります。RGBで悠長に狙っていては、その良い状態を捕まえることが出来ません。20分の露出をするとすれば、L画像は20分間良いシーイングがあればOKですが、RGBだと60分の連続した良いシーイングが必要です。L画像をRGB画像から作成するということも出来ますが、 RGBから作られたL画像は、一発録りのL画像を比べると、確実に解像度が落ちます。これはシーイングだけの影響ではなく、RGBフィルター毎のフォーカスのずれ、コンポジット精度、等の問題も加わるためと思われます。 また、 フィルター使用による光量の減少もあり、暗部のレベルも落ちてしまいます。やはり究極の解像度は、「一発撮り」ですね。
ただし、まれにRGBが最高の解像度で撮影出来る場合もあります。そういう時にはL画像の別撮影はしていません。実際の天候と向き合うためにはケースバイケースが基本であり、ここに書いたことはあくまで理想論です。最終画質と撮影必要条件のバランスを考えながら...というのが実際のところです。ちなみに、モザイク合成を行う場合などのように、高画質をそれほど必要としない場合は、はじめからRGB合成で済ませる場合もあります。
下にあるLRGBの露出時間と枚数の組み合わせは、私が常用するものです。
Lの撮影枚数を減らし、カラー画像も10分で露出時間を切り詰めてあります。この程度の組み合わせでも充分な画質が得られています。非常に暗い部分まで描写したい場合には、L画像の露出時間を延ばすのではなく、RGB画像の露出を20分にします。暗部を浮かび上がらせるには、輝度よりもカラーの変化に頼った方がうまくいく場合が多いと感じています。バックグランドの傾斜でほんのわずかでも色の差があるとそれがムラとなって目立つことはみなさん経験済みだと思いますが、逆にそれを利用します。
L@RGB: (Lx20分x6枚=120分)+ ( RGB x10分x4枚=120分)=240分
* RGB画像もビニング撮影を行っていません。色の解像度が欲しい為と、場合によってはコンポジットによって
L画像への転用が作成出来るなど、後々、有利なことが多いためです。
それとSTL-11000Mでは、ビニングするとストリーク(もどき)が発生してしまいます。
理想的なケースでは、L画像を2倍(12枚)〜3倍(18枚)撮影し、その中から良いものを選択しています。
素材がなくてもL@RGB合成
撮影の都合(天候など)で、どうしてもL画像が撮れなかった場合でも、私は必ず、L@RGB合成をしています。その方が高画質が得られると思います。輝度画像とカラー画像は、別々に処理を行った方が、それぞれに最適な処理を行えるので有利だと思うからです。カラー画像はシャープフィルター処理を行わずSN重視で処理。輝度画像は、シャープネスを追求します。多少SNが劣化しても、L@RGB合成を行うことにより、カラーノイズにはなりません。
L(R+G+B)@ RGB
カラー合成のバリエーション
次に、Haなどの狭帯域フィルターを使った場合です。今のところHa以外は使ったことがないので、Haのみで説明します。
私は、最近までは、以下のような組み合わせで使っていました。RとHaを「明るい方を優先」モードで合成します。この時、RとHaのレンジを同等になるようにあわせておく必要があります。 みなさん良くやられていると思います。
(L + Ha)@ ( R( R bright Ha)GB)
* brightは、「明るい方を優先」合成です。
この合成をする場合、それぞれのダイナミックレンジを厳密に合わせておくことが非常に重要です。
これは、下ごしらえ時に、「AutoStretch」が自動的に合わせてくれます。
しかし、これですと、Haが強調されカラーバランスが崩れることがよくわかってきました。一面赤い画像になってしまうのです。最近のHaを使った画像では、以下のようにしています。
(L + Ha) @ RGB
色に関しては、Ha撮影を行った場合でもカラー画像はRGB画像を使った方が、様々な色のハーモニーが生まれます。散光星雲(青)と輝線星雲(赤)が混じっているような場所では、この組み合わせの方が(青)が出やすいです。
L@RGB合成の代用(フォトショップの輝度合成モード)について
実は、つい最近まで、L@RGB合成をフォトショップの輝度合成モードで代用していました。以前、ステライメージでL@RGB合成した画像と比較し、テストしたことがありました。ほぼ同じような結果になったので、輝度合成モードを使うようになったのですが、今回改めてフォトショップでL@RGB合成を行い、比較してみました。そうしたら、まったく結果が違います。なぜ、以前のテストでは同じような結果になったのかは、さだかではありませんが、以下のサンプルを見て貰うとわかるように、明らかにL@RGB合成の方が彩度が保たれ、詳細な構造もでています。
フォトショップでLRGB合成を行うのはとても簡単で、カラーモードをLabモードに変え、L画像を置き換えるだけです。これからは、この方法でカラー化を行おうと思います。