別荘の一部として計画


 天文台は、別荘の一部として作りました。右の写真の木造部分が住居、基礎から繋がっているコンクリート部分の上にドームがあります。まわりを木々で囲まれているために、その上にドームださなければならず、このような形になりました。建物は土地の中でも一番高い位置にあります。2階にある書斎からも天文台の操作が出来るように、ネットワークケーブル、監視カメラの為のビデオケーブルが敷設されています。当初は、ここからよく操作しましたが、システムがほぼ完成してからは、自分のノートパソコンから無線LANでコントロールすることが多くなっています。


 また、天文台から屋上に出られるようにしてあります。屋上は天文台と同レベルになるため、視点が周りの木々の高さの上になり、すばらしい眺望が得られました。ここに寝ころんで見上げる星空は最高です。

実は途中からだったインターネット天文台としての計画


「天文台を作ったはいいが、果たして行った時に晴れるのか?」

誰かが言ったこの一言で、インターネット天文台への道は始まりました。もうすでにドームは手動でシャッターを開ける仕様になっていたし、そのあたりから方向転換をしなければなりませんでした。しかし、今になってみればこれは大正解。時々訪れる山の中の天文台、そう毎回晴れに当たるハズもなく、もし、仮に普通の設備だったら、大損していたところです。

 このページではそんな計画を振り返り、インターネット天文台を計画する上で大切なこと、失敗したことなどを書きたいと思います。

書斎からも天文台を監視、コントロール出来ます。

南東の方向。下に黒磯の町があり、その方面は明るいですが、それ以外はほぼ真っ暗の空です。特に北方向には近くに町もなく、最高のコンディションです。

立地条件の大切さ


  リモート天文台とする場合、立地条件にも気をつかう必要があります。暗い空の条件はあたりまえとして、誰もいないところでドームが開くわけですから、防犯上の問題にも十分考慮しなければなりません。また、その場所の天候(快晴率)は、一年を通して観察するくらいの慎重さも必要です。この点が僕の計画には足りなかったことかもしれません。現地の人に聞き取りをする程度では、その土地の本当の気象はわかりません。普通の人がよく晴れているという状態と、天文をやっている人間が晴れと言える状態には大きな差があります。もし、もう一度天文台を作るのであれば、近隣の方にお願いして、WeatherStationsやクラウドセンサーを置かせてもらい、データを取ると思います。



外部の状況を知ること


 人間のいないところでドームを開けるのは、かなり勇気のいる動作です。よって周りの環境を知ることがとても大切になります。私は、クラウドセンサーIIというセンサーを使っています。このセンサーは上空の温度を測り、地表温度との差を得ることによって雲の量を想定します。風速も測ることが出来るので、強い風が吹くこの天文台の立地条件にとって最高のセンサーです。そして、一番大切なのは信頼性。このセンサーには可動部分が無いために壊れません。一時、WeatherStationsを使っていましたが、結局、厳しい自然環境に耐えきれず可動部分が損傷してしまいました。



コンピュータは基本的にハングアップするもの、

インターネット回線も突然切断が起こるものとして考える


 コンピューターは、いきなりクラッシュするものです。その際にコンピューターをリスタートする方法を用意しておかなければなりません。クラッシュして操作が出来なくなった場合、次に現場にいくまで何も手出しできなくなります。


 もし、「ドームを開けているときにコンピューターがリモート操作不能になったら」、...考えただけで恐ろしいですね。雨でも降り出したら全ての器機がダメージを受けます。

 それらを回避するために、コンピューターをリモートリセット出来るようにしておく必要があります。具体的にはインターネットを通してリモート操作出来る電源コントロール装置の導入です。そうすれば別のIPポートを通して簡単にリセットが行え、復旧させることが出来ます。私は、「ランデブート・ライト」という装置を使っていますが、最近は他にもいろいろな電源コントロール装置が売られていますので、それを使えば良いと思います。


 もう一つの危機は、いきなりインターネット回線が切断されてしまった場合です。専用線を使っていない以上、インターネット回線も切れるのがあたりまえと思った方が良いです。コンピューターのクラッシュとインターネット回線の切断が同時に起きた場合は、電源のリセットだけですと対処出来ません。その間に雨が降ってきたらアウトです。まあ、その2つが同時に起こる確率はかなり低いですが、それを想定しておくことはとても大事です。

 これを回避するには、天候センサーがドームのシャッター回路を直接閉じるような別回路を作っておくことです。幸いなことに、クラウドセンサーは、天候悪化を知らせる電気的なソリッドリレー回路を持っていたので、この出力をドームシャッターのクローズ回路につないであります。



天文台の自立動作


 天文台は、リモートデスクトップによる操作が基本ですが、それをベースにACP(DC3-Dreams)というソフトウェアーを使って撮影動作を自動化しました。さらに、最近ではSOC(Seikyo Observatory Console)というソフトウェアーを自作し、撮影プランを立てておくだけで撮影、後処理の全てを自動で行わせる事が出来るようになりました。天候を監視し、ドームを開け、撮影し、フラットを撮り、画像のキャリブレーション、仮コンポジットまでを自動で行うことが出来ます。


 私はこの天文台全体をロボットとして捉えており、自立動作が出来ることを目指しています。距離は違いますが、大げさに言うと惑星探査機と同じです。天候が悪ければドームを開けないのは当然として、撮影中に天候が悪化したら撮影をやめドームを閉めるとか、雲がでてきてガイドエラーが起こるようになった場合への対処とか...さまざまな状況に対して人が介在しなくてもうまく動くようにしたいと思っています。


 天文台全体をロボットとして捉え、いろいろな工夫をこらして自動化を進めるのは、宇宙への興味とは別に、それだけでもとても楽しいことです。



以上、概要を記しましたが、詳しくは各パートのページをご覧ください。

<クラウドセンサーII>

天文台の守護神です。この機器がなかったら、現在のシステムは成り立ちませんでした。

<ドーム内コンソール>

<SOC(自作ソフトウェアー)>

このソフトウェアーが全ての自動動作を司っています。その場で撮影プランを作り、すぐに撮影を実行させることが出来ます。