天文台の生命線


 リモート天文台として、このセンサーは非常に重要な役割を担っています。雨などから大切な機器を守るためには、雨を感知してからシャッターを閉めたのでは遅すぎます。このセンサーは文字通り、雲の量を感知出来るので、雨が降り出す前にシャッターを閉めることが出来ます。また、クラウドセンサーの一番の優れているところは信頼性です。物理的に動くものがないので、耐久性があり壊れません。ドライバーソフトウェアーもとても信頼性があり、確実な動作をしてくれます。



温度センサー・赤外線センサー


 赤外線センサーにより上空の温度を計り、温度センサーにより得られた地表温度との差を使って雲の量を推測する仕組みです。どの程度の温度差があると晴れているか? ですが、地形などによって差があるようです。また、同じ場所であっても季節によって変動します。私のところですと、初夏は-15℃、冬になると-25℃程度が快晴と言える閾値になります。

 赤外線センサーは80度(120度に向かって減衰)の範囲の指向性を持ちます。また、センサー表面に水滴が溜まらないように、10度程度傾けて設置して欲しいとマニュアルには書かれています。その10度の傾きによってセンサーの表面に水滴が溜まらないようにするためです。また、その傾きをよく吹く風の方向に合わせることで、天候が変わり始めるのをより早く知ることが出来ます。



風力センサー(金色の棒)


 とても変わった方法で風速を計ります。一本の金属の棒の下部にヒーターがあり先端には温度センサーがあります。風の強さによって金属先端に伝わる温度が変化するので、それを使って風速を計測しようというものです。また、金色なのは太陽熱の影響を避けるためです。通常の風速計は、風を回転運動に変えて測りますが、クラウドセンサーIIは、可動部分を持たない為に、とても丈夫です。私は以前、通常の風速計を持つWeatherStationを使っていましたが、一冬で壊れてしまいました。ただ、このような原理によるため瞬間的な風速を測ることは出来ません。よって気象観測には向きませんが、我々のような目的にはぴったりです。



ウェットセンサー(上面全体)


 雨を検知するためのセンサーです。通常の雨センサーは、ある程度の雨が降らないと雨を検知しませんが、このセンサーは雨滴があたった衝撃に反応します。タッチセンサーです。そのかわり、葉っぱなどが風で飛ばされてきてセンサーに接触すると、それも雨と判断してしまいます。この高性能が思わぬところで悪さをすることがあります。昨年の春、撮影をしていると快晴なのに突然アラームが出てドームが閉まってしまいました。リモートで操作しているため、「天気雨でも降っているのか?」と思ったのですが、あまりに急すぎてどうも怪しい。現場に行って撮影している時にも同じ事が起きました。窓の外を見ると完全にはれているのに...。原因は、黄砂でした。ウェットセンサーの表面を触ってみるとざらざらしています。まあ、黄砂がひどいときには撮影するなってことでしょうか(笑)。



環境光センサー


 文字通り照度を計測します。薄明が終わったかどうかを計算ではなく実測で調べることが出来ます。自動撮影をしていて、夜が明け始めて真っ白な画面を撮ってしまったという経験はないでしょうか?このセンサーがあれば、薄明が始まると撮影を自動終了させることが出来ます。このような仕様を見てもわかるように、クラウドセンサーIIは、天体撮影をやっている人の為に設計されています。



ソフトウェアー・ClarityII


 これらのセンサーで得られた値に対してこれ以上は危険という閾値を設定し、これを越えると警告を出すことが出来ます。ただ、これらは音やウィンドウ上での警告なので、自動でアクションを起こすためには、他のソフトでクラウドセンサーアプリケーションを監視してやる必要があります。COMのインターフェースを持っているので、そのやりとりは非常に簡単です。


  1. gCloudSensor = CreateObject("ClarityII.CloudSensorII")

  2. gCloud = gCloudSensor.CloudCondition

  3. gWind = gCloudSensor.WindCondition

  4. gRain = gCloudSensor.RainCondition


このように書くだけで、各変数には、雲の量、風速、雨の情報が入ります。



ソフトウェアーを介さない非常動作


 また、特筆すべきは、危険値を超えるとハードウェアーでリレー動作を行うことです。TTLレベルのリレー端子を持っており、危険値を越えた場合、ここがONになります。この端子をドームシャッターの閉回路などに接続しておけば自動的にドームを閉めることが出来ます。



その他のソフトウェアー


・RC-Astro Cloud Sensor Graph II

 有償ですが、クラウドセンサーのデータをグラフ化して見せてくれる RC-Astro Cloud Sensor Graph IIがあります。そのグラフを一定時間毎に指定されたサーバーにアップする機能も持っています。


・WatchWeather(自作ソフトウェアー)

 数字やグラフではなく、現在の天候、風速を絵で直感的に把握出来るようにしました。このソフトは常に立ち上げておき、デスクトップの片隅において使用するように考えました。また、何分続けてセーフ状態が続いているのか?といった本当に知りたい情報がわかるようになっています。セーフ状態とは、雲量、雨、風、光などが観測に適した状態のことです。これは、ClarityIIソフトウェアーで設定します。

 また、設定した時間以上セーフ状態が続いた場合には、指定したアドレスにメールを出せるようになっています。これでどこにいても撮影可能状態を知ることができます。また、「USB Meter」という温度計測モジュールにも同時にアクセスし、室内の温度も表示出来るようにしました。CCDカメラの冷却温度を決めるのに、外気温を元にしているとカメラに負荷をかけすぎることがあり、重宝しています。外気温とドーム内の温度差を知ることは、ドーム内シーイングの目安にもなります。

 こんなソフトですが、欲しいという方はいらっしゃいますか? ご要望があれば、このサイトでダウンロード出来るようにしたいと思います。

クラウドセンサーの下面。湿度センサー、環境光センサーなどが並ぶ。このように回路基板がむき出しになっていて、大丈夫かと心配になるが、風速20mの雨の中でも正常に動作していた。結構、下から雨は吹き込まないのかもしれない。このようなことから、この製品は相当なフィールドテストを行った結果、このような形態になったことが伺える。

二重床の下に設置してあります。

中央に見えているコンクリートは、架台がのっている基礎部分です。

クラウドセンサーII

シンプルな構造で、可動部分がないため、耐久性抜群です。

このソフトウェアーでクラウドセンサーの動作の設定を行う。危険値のスレッショルドを決めることと、現在の状態を表示する機能、ログファイルを残す機能がある。

<自作ソフトウェアー WatchWeather>

動作設定状態。何分以上セーフ状態が続いたらメールするか設定することが出来る。

<温度湿度計測モジュール USB Meter>

 
 

金色に見えているのが、風速計。まわりにある幾本もの針金は、鳥よけです。