2009.4.1公開 全天周映像 HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- 未踏の地をもとめた宇宙探検家。いま、故郷に還る…

「はやぶさ」とは?

小惑星探査機「はやぶさ」

2003年5月に打ち上げられた、日本初の小惑星探査機。
コードネームはMUSES-C。MUSESは、技術試験を意味する符号で、新しい技術をテストするための挑戦的な探査機である。試験目標として、星の王子さまのふるさとのような小惑星イトカワの探査が選ばれた。試験はイトカワに着地し、サンプルを採取、地球に持ち帰るまでを行う。成功すれば、技術的成功のみならず、月以外の石を地球に持ち帰る、はじめての例となる。また「はやぶさ」には、公募された88万人の名前が刻み込まれており、その名前と思いをのせて宇宙を飛んだ。

はやぶさの重量は 500kgで、気象衛星ひまわりの2.4トン、スペースシャトルの70トンに比べ、小さな探査機である。しかし、はやぶさは、数々の挑戦が行われている先進的な探査機である。

第1は、電気推進(イオンエンジン)である。
通常、ロケットは火薬や燃料を燃焼させ、その反動で進む。パワーは絶大だが、燃焼できる時間は数分間と短く、いったん軌道を決めたら、変更は困難である。また、パワーに耐えられる強靱な船体が必要である。一方で、電気推進は、電気の力でガスを噴出する。パワーは小さいが、長時間エンジンを稼働させることができる。実際「はやぶさ」は、数万時間というエンジン稼働を記録し、いまも更新中である。

第2は、全自動制御である。
はるか数千万キロメートル彼方では、指令が届くのに数分かかる。着陸は探査機が自ら考え、判断することが求められる。

第3は、小惑星の精密探査である。
これの結果は、世界的な科学雑誌サイエンスを一冊特集にするほどの成果をあげた。

第4は、小惑星の着陸と離陸である。
着陸は、米国のニア・シューメイカー探査機に先を越されたが、離陸は史上初であり、これを成功させている。

第5は、小惑星サンプルの採取。「星の王子さまのふるさと」の石をとって帰ること。

第6は、地球に帰還し、大気圏にカプセルを投入、サンプルを無事回収することである。

以上のうち、ひとつでもなしえれば、前人未踏である。
しかも、はやぶさはすでに、1〜4までを成功させている。ここまでで、100点満点の250点を獲得といっていい。5,6がなされればさらに成果があがる。

はやぶさは、 2010年6月、サンプルが入っていると期待されるカプセルを分離し、オーストラリア中部のウーメラ砂漠に軟着陸させる。
一方、本体は地球大気圏に突入し、分解し燃え尽きる予定。

参考: JAXA小惑星探査機はやぶさ 【WEB http://www.isas.ac.jp/j/enterp/missions/hayabusa/