Chapter1 マイコン時代(1976〜1981年頃) page3
   

そんなとき、ベーシックマスターレベル3の解説本が発売されました。(確かアスキーさんの本だったと思います。)

この本の中に3DCGの計算式が紹介されていたのです。単純な透視変換と移動、回転を行う式だけだったのですが、Basicを使ってプログラム化すると、 ワイヤーフレームでかかれた図形(立方体)が回転するのです。今まで単に黒ベタの画面が3次元の奥行きを持った空間に感じられました。

レベル3というコンピューターは、画面モードをいろいろ持ち、ページという概念がありました。 いわゆる裏画面です。見えているのは表のページ1ページのみです。そこで裏のページに回転する次の状態の立方体を描き、描き終わったらそのページを表ページとして表示するのです。 この機構によりある程度スムーズな回転が表現できました。ほんとびっくりするくらいきれいでした。

今、ワイヤーフレームの表現など、シェーディングさせる前の作業用の表示方法でしかありませんが、 ほんとは、ワイヤーフレーム表現というのは、芸術的なものだと思います。 得に有限の画素の中で表現されるそれは、まるで有能なデザイナーがデザインしたような簡潔さをもっていると思いませんか?

 
   
昼間堂々とプログラム

このデモプログラムをその当時勤めていた会社の社長に見せたんです。そしたら大変興味を持ってくれまして、仕事として活用できないかという話になりました。

ここからが仕事としてのCGの始まりでした。 うれしかった! 何がうれしかったって、昼間堂々とプログラムが組めるからです。 それまで、2〜3時間で一本のプログラムを作りあげることに馴れていた自分にとって、丸一日与えられた時間は広大なものでした。そして、業務に使うためのプログラム改良に着手したわけです 。サンプルプログラムのままでは、物体を小 さくすることはできても、大きくすることはできませんでした。

   

視野面での3次元クリッピングをしなければ、視点をまたぐような線分を正しく表示させることはできません。 また、画面をはみ出すような物体を表示するためには2次元クリッピングもする必要があります。画面外の座標を指定して線分を引くことができなかったのです。そのため、画面のエッジと描きたい線分の交点を求め、その算出された座標値をもとにLine命令で描画しました。そして入力はデジタイザーを使いました。 デジタイザーの入力ソフトなんてなかったですから当然自分で作りました。とにかく何もなかったからなんでも作りました。

プログラム自体は決して難しいものではありません。 「自分はプログラムできないから」とか「CやC++は、まったく...」なんてことを最近よく聞きますが、 そんなことはないのです。やる気があればどうとでもなります。実際、私もそうでしたから...。
たとえば、 3DStudioMAXを使っていて、不便に思ったことがあればScriptingなり、プラグインなりを作ってしまえばいいんです。はじめ、いろいろな決まり事は覚えることになるでしょうが、そんなのなんてことないはずです。だって、何をどうすればいいかはすべて決まっていることなんですから。 作りやすいようにお膳立てを立ててくれているわけですから難しいはずがありません。それより、自分の人生をどう生きるかのほうがよっぽどむずかしいと思いませんか? それを常日頃、無意識のうちにやってるわけですから、屁の河童でしょう。